書影
  • 地域デザイン学会/編
  • A5版 並製 268ページ
  • ¥2750 (本体価格 ¥2500 + 税)
  • 2016年04月12日 発売

特集 地域デザインと地域創生

地域の新たな魅力を創生する。その仕組みとヒントがここにあります。

地域デザイン学会は、グローバル時代における「地域」の可能性を、「コンテンツからコンテクストへ」という視点から学際的に研究する団体。本書は、同学会が年2回発行する研究論集。
今号の特集は「地域デザインと地域創生」。原田保(同学会理事長)、古賀広志(関西大学総合情報学部教授)ら研究者を中心に8本の論考と研究ノートを収録。「地域デザイン研究の定義とその理論フレームの骨子」「地域創生に向けた農産物直売所・朝市の新たな役割」ほか。地域デザインフォーラムやまなし2015や全国大会シンポジウムの記録も収録。

前書など

 本号の特集テーマは「地域デザインと地域創生」であるが、これは地域での諸活動について地域固有の課題にフォーカスした議論を誘発したいと考え、設定された。地域を地域デザインから分析したものであり、それゆえ会員においては今後の地域デザイン研究にここでの研究成果を活用してほしい。
 周知のように、現在多くの企業が地方でビジネス展開することにそれほど積極的な姿勢を見せていない。その理由は、苦境にあえぐ地方自体が積極的に外部資本を取り込むことに消極的であることもあるだろうが、東京などの都市部の企業が新たに地方、特に田舎に進出するのは体力的に困難だからである。確かに、大企業の論理は地方に根づく人々には容易に受け入れがたい点が多いかもしれない。しかし、それ以上に企業サイドには地方の歴史や文化を捉えたビジネスの展開を行うだけの時間的、資金的、人材的な余裕がないように思われる。
 今考えるべきは、都市部の住民とは異なる感覚や思考を保持する地方の住民が主体的に展開できるビジネスの探索であろう。これについては、現在各地でいろいろな模索がなされているが、本学会ではとりわけ農業と観光業にフォーカスしたいと考えている。それは、これらの産業は第二次産業と比較して設備投資が小さく、地方の人材がやる気を起こせば展開しやすい産業だからである。こう考えていたところ、嬉しいことにこの領域に関する複数の論文と研究ノートが投稿された。

—原田保「『地域デザイン』第7号の刊行にあたって」より

目次

『地域デザイン』第7号の刊行にあたって 03
原田保

巻頭論文
地域デザイン研究の定義とその理論フレームの骨子 09
—地域デザイン学会における地域研究に関する認識の共有
原田保 古賀広志

論文1R
地域創生に向けた農産物直売所・朝市の新たな役割 31
—農山村の内発的発展に向けた理論構築に向けて
唐崎卓也

論文2
牛肉産業の振興と地方創生 49̶
—九州における飼料用米給与牛肉の取り組みを事例として
中川隆

論文3
地域デザインにおけるコンテクストトラベリズムとアクターズネットワーク 67
小川雅司

論文4
地域を対象とするためのマーケティング論理の発展 87
̶S-D ロジックを中心に
庄司真人

研究ノート1R
埼玉県小川町における有機農業を核とした地域デザイン 107̶
—地場豆腐屋の貢献に注目して
下口ニナ 稲泉博己

研究ノート2
暮らしにおける安全・安心の実現に向けての一考察 123
原田保 宮本文宏

研究ノート3
旅のトポス
—旅の概念の形成と歴史的変遷 143
原田保 宮本文宏

地域デザインフォーラムやまなし2015要旨
南アルプス市を事例にして地域の未来を考える! 165
—現地でのワークショップの成果報告
青木茂樹 金丸一元 佐藤茂幸 石井信行 今井久 江戸克栄 後藤晶 澁谷彰久
熊谷隆一 岡谷泰士 中込敦也 小尾伸太郎 横山佳純 原田保

第1回ローカルガバナンスフォーラム要旨
横浜におけるIT・行政・企業の取組 199
柴田典子 藤﨑晴彦 柳田義継 馮晏 原田保

第4回全国大会シンポジウム要旨
地域デザインにおいて地方議会議員が果たす役割 221
原田保 村崎浩史 森亮二 上妻博明 本田正美

著者紹介

地域デザイン学会(チイキデザインガッカイ)
2012年設立。地域振興や地域再生を、コンテンツではなく、知識や文化を捉えたコンテクストの開発によって実現することを指向し、学際的、業際的な地域デザインを知行合一的に推進しようとする学会。